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【インタビュー】新たな視点で見る建設業: 経産省職員・三宅志信氏が語る橋本組での学びと未来戦略

対談内容

三宅さんとはどんな人か?

㈱橋本組: 三宅さんの人となりを少し伺いたいと思います。まずは経済産業省で三宅さんが担当されているお仕事について、簡単に教えていただけますか?

三宅氏: はい、改めまして、三宅と申します。私は経済産業省の通商政策局、国際経済部参事官室に所属しています。主に通商ルールを所管している部署で、もの・サービスの輸出入に関するものを含む様々な通商ルールを所掌しています。例えば、国内と海外で同じ産品を差別的に扱うことは禁止されていますし、正当な理由なく一国にだけ高い関税をかけることも禁止されています。こうした通商ルールについて、世界情勢も変わる中で、どのようにルールを見直して現在の貿易課題に対処していくかを各国と議論する部署になっています。

㈱橋本組: その部署には何人くらいの方がいらっしゃいますか?

三宅氏: 部全体で70人ほどいますね。

㈱橋本組: 三宅さんは入省2年目ですが、同期の方はどれくらいいらっしゃるのですか?

三宅氏: 同期も多くて、私のデスクの周りには若い職員が多いですね。部署によりますが、他の部署では年齢層がもう少し高めのところもあります。

㈱橋本組: お忙しい毎日だと思いますが、リフレッシュ方法や趣味などはありますか?

三宅氏: 業務中は簡単にフロアを歩いたり、コンビニに行ってお菓子を買ったりしています。週末は音楽が好きで、先週もBUMP OF CHICKENのライブに行ってきました。最近は筋トレも始めましたね。

㈱橋本組: それなら普通の20代っぽくて安心します(笑)。

㈱橋本組: 東京大学をご卒業ですが、勉強の秘訣ってありますか? 当社では資格取得が求められているので、効率の良い勉強方法が知りたいです。

三宅氏: 勉強の秘訣はたくさんありますが、一つは「辛くならないようにすること」が大事だと思います。そして、一度学んだことは早いうちに復習して忘れないようにするのが重要です。また、教科書を浮気せず、一つに集中することも大切です。

㈱橋本組: 学生時代はどれくらい勉強されていたのですか?

三宅氏: 高2・高3の受験期はやはり勉強時間が多かったですね。でも、受験生はみんなそうだと思います。中高時代はアニメやゲームも楽しんでいました。楽しみすぎて「やばいやばい」なんてこともよくありました。

㈱橋本組: どうしたらそんなに頭のいい子が育つのか聞いてみたいですね。

三宅氏: 両親は「勉強しなさい」と言うタイプではなかったですが、塾に通わせてもらって中学受験を経験しました。自然とその道に進んでいった感じですね。

㈱橋本組: 謙虚ですね。

民間企業派遣制度とは?

㈱橋本組: 今回は民間企業派遣研修ということで橋本組に来られたわけですが、その経緯を教えていただけますか?

三宅氏: 経済産業省では、総合職の2年目職員を地方企業に派遣する研修プログラムがあります。その一環で私も橋本組にお邪魔しました。

㈱橋本組: 総合職の方々は、全員どこかの企業に研修に行くのですか?

三宅氏: 同期はそれぞれ違う企業に派遣されています。大まかな希望を出し、それをもとに人事部が職員と研修先企業の組み合わせを考えます。

㈱橋本組: 三宅さんは建設業を希望されたのですか?

三宅氏: 実は、建設業を特に希望したわけではなく、伝統的な業種や、これから変革が必要な分野に興味を持っていました。それがきっかけで橋本組に派遣されました。

㈱橋本組: 民間企業派遣研修の目的って、具体的にどういったところにあるのですか?

三宅氏: 経済産業省の仕事は、企業を支援し日本の経済を活性化させることです。そのために、企業の現状やニーズを実際に知ることが重要です。補助金や税制が企業のニーズと合わなければ、良い政策でも現場では使いにくいと感じられてしまいます。企業の実態を知り、それを政策に反映させることが目的ですね。

㈱橋本組: 建設業って、国土交通省の管轄ですよね。それなのに、経済産業省の三宅さんが建設業を選ばれたのは興味深いです。

三宅氏: 確かに、私の同期でも建設業を選んだ人は珍しいです。多くはサービス業や製造業に派遣されています。でも、私にとっては新鮮で、建設業での経験は多くの学びがありました。

三宅さんから見た橋本組とはどんなところか?

㈱橋本組: 実際に建設業に来られて、橋本組の印象はどうでしたか?

三宅氏: 正直、全然違いましたね。最初にオフィスに入った瞬間、「ここは渋谷のベンチャーか?」と思ったくらいです。イメージしていた伝統的で現場主義の「オラオラ系」とは真逆で、オフィスは綺麗で、女性の比率も高く、テクノロジーを積極的に導入している会社でした。

㈱橋本組: ありがとうございます。社長も、従来の現場のイメージを払拭したいという思いが強いようで、きっと喜びます。
では、社内の雰囲気についてはいかがでしたか?

三宅氏: 第一印象は、オフィスが驚くほど綺麗で、ここで働くのは楽しいだろうなと思いました。皆さんも非常に優しく、和気あいあいとした雰囲気で、風通しの良さを感じました。

㈱橋本組: 確かに、うちは年上の方にもフランクに話せる雰囲気があります。もしかすると田舎特有のゆるさもあるかもしれませんね(笑)。

三宅氏: そうですね、あまり上下関係を気にしている感じはしませんでした。

㈱橋本組: 省内は上下関係が厳しいのですか?

三宅氏: ピラミッド型の組織ではあるので、橋本組よりは厳しいかもしれませんね。でも、そこまで厳しいというほどではないです。

㈱橋本組: 橋本組が緩すぎるのかもしれません(笑)。でも、自由な雰囲気で働きやすいですよ。

三宅氏: そうですね、働きやすさは感じました。

三宅さんから見た橋本組の問題とは?

㈱橋本組: 提案書の中で、世代間ギャップについて触れていましたが、具体的にはどんなところで感じられましたか?

三宅氏: 中間層が少ないなと感じました。橋本組はベテランの方と、新卒の若手が中心で、その間の世代が少ない印象です。シニアの方々が培ってきたやり方と、若手の方の新しい価値観の間にギャップがあると感じました。ただ、その間に壁があるわけではなく、お互いが気を遣いながら協力している印象です。

㈱橋本組: 確かに、30代の中堅層が少なくなっています。転職や実家を継ぐなどで辞めてしまう人がいます。
そのため、ベテランが若手を指導するという構図になっているのですよね。

三宅氏: 経産省でも似たような状況がありますね。人手が少ない中で、負担が一部に集中してしまうこともあります。

橋本組の社員たちどんな人?

㈱橋本組: 管理職の方々と交流が多かったようですが、その中で得たものはありましたか?

三宅氏: 管理職の方々から現場の話を詳しく教えていただいたり、悩みを共有してもらったりしました。それを元に提案書を作成しましたし、自分自身も多く学ばせていただきました。

㈱橋本組: なるほど、やはり管理職とのやり取りが多かったのですね。若手の方との交流はどうでしたか?

三宅氏: 基本的には皆さん自然体で、和気あいあいとした雰囲気で働いていました。自分より若い方が多くて、ちょっと「若いなあ」と感じることもありましたが(笑)、全体的に楽しい雰囲気で、穏やかな方が多い印象でしたね。

㈱橋本組: そうですよね。20代同士だと、価値観の違いもあったりしますが、皆楽しそうに働いていますよね。

㈱橋本組: 次の質問になりますが、橋本組で一番関心を持った人は誰ですか?

三宅氏: 営業の天野さんには特にお世話になりました。自分よりも若いと思いますが、非常に落ち着いていて、安心感がありました。営業向きの方だなと感じました。他にも佐藤さんは、やる気がみなぎっていて、非常にギラギラしている印象でした。伴野くんとも仲良くなって、一緒にライブに行く約束をしたりしましたね。

㈱橋本組: それは良いですね!やはり、若手同士での交流も楽しかったようですね。

三宅氏: でも、一番印象的だった人は社長ですね、やっぱり社長が一番変わった方というか、面白い方だと思いました。経営者として非常に野心的で、大きな目標に向かって進んでいく姿が印象的でした。

㈱橋本組: 社長は確かに独特のキャラクターですね(笑)。

三宅氏: 必要だと思ったらやる、必要ないと思ったらやらない、無駄なことはしないし、大きな目標を掲げて進みつつ、こうバサバサ切ってくっていうタイプだと思いますが、そういうイケイケ感がありつつ、一方で、全体としては穏やかな雰囲気が流れていて、社員がピリピリもしていないし。みんな自然に楽しそうにやっているっていう雰囲気があって、目標への実直さと和気あいあいとした雰囲気の両面を持っていてバランスが取れているというのはすごくいい会社だなと思いました。

橋本組のDXの取り組みについて

㈱橋本組: では、次に橋本組におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについて伺います。建設業界ではDX化が遅れていると見られることが多いですが、橋本組はいかがでしたか?

三宅氏: 私の印象では橋本組はかなり先進的だと思いました。例えば、ドローンを使って現場を撮影したり、点群データを活用したり、現場の職員がiPadを使ってBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを扱ったりと、随所でテクノロジーを取り入れて効率化を進めようとしている姿勢が見られました。これは私の思っていた建設業のイメージよりもずっと進んでいました。

㈱橋本組: ありがとうございます。ただ、部署間のDX推進はまだ課題があるとも感じられましたか?

三宅氏: はい、確かにその点も感じました。例えば、設計で作成したBIMデータを積算や施工に横断的に活用していくことが理論的には可能ですが、それを実現するためには、各部署が連携して一貫したシステムを構築しなければならず、これがなかなか難しいように思いました。既存の業務フローを一気に変えるのは抵抗も大きいでしょうし、そういった部分で課題が残っていると感じました。

㈱橋本組: 確かに、特にベテラン層には新しいテクノロジーの導入に抵抗感があることもありますね。実際、講習を受けていない方もいらっしゃいますし、全体をスムーズに変革するのは難しいと感じます。

三宅氏: 急な変革はアレルギー反応を引き起こすこともあるので、徐々に進めていく必要がありますね。

橋本組の次の100年への課題とは

㈱橋本組:では、最後に橋本組が創立100年を超えましたが、次の100年に向けて何かアドバイスや考えがあれば教えてください。

三宅氏: 自分がアドバイスというのはおこがましいですが、僭越ながら、大きく三つ挙げたいと思います。

一つ目はDXです。DXは建設業界に大きな変革をもたらす可能性があり、100年単位のスパンで見ると、現場作業が監督一人で回るような未来もあり得るかもしれません。積極的に取り組んでいく必要があると思います。

二つ目は、クリエイティブなデザインや体験を重視することです。基本的な建築・土木の能力に加えて、個別のニーズに対応したデザインや体験の提供がより重要になってくると思います。橋本組のオフィスのように、人々がどう暮らし、どう感じるかを考えたデザインが求められる時代になると思います。

三つ目は海外展開です。日本国内の需要が減少する中で、海外市場に出ていくことは避けられないでしょう。橋本組もすでにベトナムなどでの進出を進めていると思いますが、今後さらに海外での受注を拡大していくことが重要だと感じます。

㈱橋本組: ありがとうございます。まさにその通りですね!特に二つ目のデザイン性の話は、社長が常に口にしていることで、橋本組のアイデンティティとして確立したいと考えています。

三宅氏: それは素晴らしいと思います。やはり、ただ建物を作るだけではなく、そこにデザインやクリエイティブさを加えることが、今後の競争力になると思います。

最後に

㈱橋本組: 最後の質問になりますが、橋本組への提案や資料を作成するとき、どのような視座で取り組まれていますか?

三宅氏: 提案書を作成する際は、まず社長の視座を中心に考えました。70%くらいは会社としてどう良くしていくのか、どう生き残っていくのかに焦点を当てました。あとは、自分が経済産業省の職員でもあるので、日本の経済や建築市場がどうあるべきかという視点も取り入れました。

㈱橋本組:非常に落ち着いていらっしゃるのが印象的です。どうしてそんなに落ち着いているんですか?

三宅氏: 実は、すごく緊張していました(笑)。事前に質問を印刷して、どう答えようかと準備していました。落ち着いているように見えたのなら、成功だったということですね。

㈱橋本組: いや、本当に落ち着いていらっしゃいました。今日はお忙しい中ありがとうございました。